ブログ第7回、海村朋孝です。ウォーキングの良さについては前回語りましたが、「運動をする」というときにウォーキングだけで良いのだろうかというのが今回のテーマです。
ウォーキングは様々な効果が期待できるため(前回参照)、整形外科を受診される患者さんたちには歩いたほうが良いとお勧めしています。ただ高齢の患者さんについて考えると、ウォーキングだけでは足りない部分があります。それは「白筋(速筋)を鍛えられるかどうか」ということです。
白筋(速筋)と赤筋(遅筋)についてはご存知でしょうか。どちらも筋肉ではあるのですが、速筋は瞬発力、遅筋は持久力を主につかさどります。魚でいえばヒラメやカレイなどの水底や沿岸で待ち伏せする種類の魚では、無酸素代謝で短時間に大きな力を出し瞬発的に泳ぐための白筋が発達しています。逆にマグロなどは回遊して長時間泳ぐため、酸素を貯めるミオグロビンを多く含む赤筋が発達しています。
人間で考えれば加齢とともに筋力は弱るものですが、その中でも主に白筋が優先的に萎縮していきます。そして瞬発力低下が転倒リスクを高めるわけです。ところがウォーキングでは主に赤筋を使うため、白筋維持には不十分です。ウォーキング単独でも歩行能力や姿勢維持・持久力には有効ですが、特に高齢者には「筋力トレーニング+ウォーキング(多因子介入)」が最も有効とされています。筋トレといっても本格的なものではなく、簡単な体操からで大丈夫です。当院では高齢の方や痛みのある方へのトレーニングやその他のリハビリ指導も行っていますので、ご相談ください。
日本整形外科学会が「自分でやる運動」として推奨している「ロコトレ」もあります。ロコモONLINEのサイトで見ることができます(ロコモONLINE | 日本整形外科学会公式 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト)。第4回のブログ「続・運動と痛みの話(ロコモティブシンドロームに関して)」もご参照ください。
運動しているという意識を強く持つのが重要ともいわれています。ホテルの清掃員を2つのグループに分け、一方のグループにだけ「掃除も運動です」と教えたという実験では、そう教えられたグループのみ1か月後には体重が1.5kg減り、血圧や血糖値も下がったそうです。掃除のみならず家事でもカロリーを消費するものです。さらに強度を上げるなら階段を早足で上る、掃除をテンポよく行う、ゆっくり腰かける、などの工夫が有効かもしれません。「これは効果がある」と意識して動くのが良いと思われます。
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