長引く咳の正体は

投稿者:内科・呼吸器内科医 海村朋子

こんにちは、千葉県銚子市にある医療法人芳仁会「海村医院」本院内科医師の海村朋子です。今回は、「咳」の話をします。呼吸器の病気を専門としてきた私にとって、「咳」「息切れ」「痰」の症状を何とかしたいという思いは、ずっと抱いていることです。その中でも「咳」は、患者さん自身だけでなく、周囲にも影響を与えるという意味で、特に訴えが多いものとなります。咳の多くは、風邪などの感染症によるものですが、それ以外の長引く咳には、下記に挙げるような特殊な病気があります。

 

■気管支喘息、咳喘息

花粉症などのアレルギーを有する方が多いです。昔小児喘息と言われていた、という方も多いです。気道(空気の通り道)が敏感になって狭くなり、外的な刺激(花粉、タバコ、香水など)で咳が出やすくなります。体が温まると咳が出る、横になると咳が出る、というのも特徴です。吸入薬や内服の抗アレルギー薬が有効です。

 

■アトピー咳嗽、咳過敏症

喘息とやや似ていますが、喉や気道の感覚が敏感となり、咳が出ます。「喉のあたりが、いがいがする」という表現をする方もいます。抗アレルギー薬が有効です。

 

■逆流性食道炎

食後に増えた胃酸が、食道(食べ物の通り道)を逆流することで、喉や気道を刺激し、咳が出ます。食後に咳が増えるのが特徴です。食後すぐに横にならないようにしたり、熱い食べ物や香辛料が多い食べ物を食べないようにしたりする工夫のほか、胃酸を抑える薬が有効です。

 

■副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎

症状として鼻水があります。鼻水が喉に垂れ込むことで、咳が出ます。抗生剤、抗アレルギー薬、点鼻の薬を使います。

 

■感染後咳嗽

風邪などの感染症が治ったあとも、気道が敏感な状態が続き、咳だけが残ります。直近で感染があった、ということが大前提です。時間が解決してくれることもありますが、咳止めを使うこともあります。

 

■特殊な感染症(結核、マイコプラズマ、百日咳)

採血や痰の検査、レントゲン写真で診断します。周囲に同じ症状の人がいないか、問診が重要です。いずれも治療法が確立しており、結核は今や完治する病気となりました。

 

■肺気腫、肺癌、間質性肺炎

喫煙歴や聴診所見、レントゲン写真が重要です。当院では、これらの病気を疑った場合には、続いてCTなどの精密検査が必要となるため、近隣の専門医療機関に相談します。

 

こうやって見ると、問診だけでも疑うことができる病気もあります。すぐに専門医療機関を受診する必要はありません。1週間でも、咳が毎日続くことはつらいです。私は、最初の段階で上記すべての病気を鑑別する必要はないと思っています。咳をいかに早く、強力に止めるかということが大事ですので、疑った病気全てに対して、専門的な検査をするよりもまず、治療を開始してみるのも一つだと思っています。

 

咳が出そうになったときは、とっさに息を止める、水を飲む、飴をなめる、唾液を飲み込む、といった対処法が言われています。また、お腹を膨らませる「腹式呼吸」を、普段から心がけることも有効です。夜、ベッドで横になったときにお腹の上に手を置いて、呼吸で手を持ち上げるトレーニングをしてみてください。