運動と痛みの話

投稿者:整形外科医 海村朋孝

3回目のブログ更新、海村朋孝です。前回は「運動器疾患の予防」に関する話でした。今回はその続き、「運動と痛み」について。痛みがあると「運動すると悪化しそう」と考えてしまいがちですが、多くの慢性的な痛みに対しては適切な運動がむしろ改善につながります。もちろん、急性期の強い炎症や外傷(けが)直後など、運動を控えるべき場合はあります。しかし腰痛や膝痛などの慢性痛の多くは、むしろ痛みがあると動くのが怖くなり、活動量が減ると筋力や柔軟性がさらに低下し、痛みが悪化する悪循環に陥りやすいのです。

 

痛みがある場合には、まずは医療機関を受診して「動かしてよい状態かどうか」を確認するのも大事です。けがしているのに無理に動かしていたら、良くなるものも良くなりません。動かしてよい状態であれば、当院では積極的に理学療法士による運動器リハビリテーションをお勧めしています。激しい運動が必要というわけではありません。一人一人の病態や都合に応じて、通ってリハビリをやっていただく場合もあれば、リハビリの仕方を指導して自主トレーニングをメインにしていただく場合もあります。

 

腰痛に対しては特に、腹横筋などのインナーマッスルを動かすのが有効と言われています。腹横筋はお腹の最も深い層にある筋肉で、腰椎と骨盤を内側から支える役割があります。腰痛のない人は腹横筋が厚いという研究報告もあり、腹横筋の機能低下は腰痛の一因と考えられています。

 

お腹をへこませながら呼吸する「ドローイン」という方法が腹横筋を活性化する体幹トレーニングとして有名です。息を吐きながらお腹を内側に引き込むように意識する方法です。姿勢の安定、腰椎への負担軽減、動作時の痛みの軽減に有効で、特に、反り腰・猫背など姿勢の崩れがある方には効果が出やすいとされています。逆にお腹を膨らませた状態で呼吸する「ブレーシング」というトレーニングもあります。腰痛のある方は呼吸が浅く、体幹の圧(腹圧)が保てず姿勢が崩れやすい傾向があるのですが、ブレーシングにより腹圧を高めることができます。

 

上記のトレーニングやその他の腰痛、痛みに対するリハビリも当院では行っています。慢性腰痛でお悩みの際にはご相談ください。ここまでお読みいただきましてありがとうございました!